Angeline Era
アイルランドで真実
テッツは自分の中の使命感か、夢で見たお告げのせいか、単身異国であるエラに向かう。そこでアルカスという天使と運命的な出会いをする。双角石を集めることで天使の記憶が復活し、世界と再び共鳴することができる。共鳴の詳細は知らないが、世界を変えるような唯一の答えを求めていたテッツはアルカスと二人で旅をする。旅の中で親交を深める二人だったが、旅の最後、精霊の女王でありアルカスの姉のニーヴに、現実を付けつけられ、その圧力に屈したアルカスにテッツは裏切られる形になる。共鳴という当初の目的は果たせず旅は終了し、傷心の中、父親の葬儀に出席するためテッツはアメリカに帰る。エラでの旅の間に家族も亡くし、過去の友人たちはそれぞれの生活を持つようになっていた。地元ロサンゼルスにテッツの居場所はなく、異界でのニーヴとの結婚という現実を受け入れる(なんか好かれていたらしい)。異界で退屈だが堅実な人生を過ごす間、アルカスは真実を探しつづけていた。テッツは異界での立場上過去の親友と対立し、その最期を見届け、幼少期から埋め込まれた強迫的な観念から解放される。その後テッツは望郷の念に駆られ、妻や娘を異界に置いて地元ロサンゼルスに帰る。
ここで奇妙なのが、テッツが「堅実な人生」を過ごす舞台が極めて荒唐無稽、不気味で暴力的な異界であること。しかも、テッツはそこで実質5日間しか滞在しない。また、強迫的な観念から解放されるとき、ニーヴによってはっきりと寄生虫が抜き出される描写があること。これらがどういうことなのかあまりわかっていない。
異界で5日間しか滞在していないことに対しては、その後、現実で20年が経っていたことが明かされることから、結婚や子育てなどに忙殺された時間は一瞬で過ぎることを表しているのかもしれない。
だが、出産や子育ての描写があまりにあほらしすぎる。具体的には、雑魚敵やうんちをタックルで蹴散らしながら、子供を銃で撃つことでそれは達成される。一見何を考えているのかと思うが、変則的な雑魚ラッシュ戦だとすれば、ゲームの仕組みに合わせたチャレンジ要素としては一般的な気もする。これは、敵にタックルして戦うアクションゲームであって、しょぼくれた考察とは無縁なんだと言われているような気がする(実際、Steamの説明ページでニーヴが似たようなことを言っていた気がする)。
黎明期のゲームのお約束や妙なクセを2025年に再現することと、民族伝承(ニーヴやティルナノーグの伝承)を当時の現代的な解釈とつなげようとしたイェイツ等の作家が試みたことは、どこか似たようなものがあるのかもしれない。
しかし、もう一つの埋め込まれた寄生虫の謎がよくわかっていない。おそらくニーヴは、男性に都合の良い逃避先や、天使(キリスト教というかグノーシス主義的な偽の神?)に対する土着の信仰や古い神のような一面がある思う。だから、テッツが偽の神からの支配から抜け出せても、それはまた別の信頼できない神に鞍替えしただけだと突きつけられているように見える。そんなテッツからすると共鳴が果たせずとも「殉教」したアルカスは清々しく生を終えたように見える。
スペシャルサンクスにElaine Pagelsの名前があるので、グノーシス主義的な視点が入っている可能性はあると思うけど、その寄生虫が最終戦闘中に第三の目のように開眼して、スーパーパワー的なものを得たのはなぜなんだろうか。寄生虫が天使によって埋め込まれたというのははすべてニーヴによる説明なのでそれも嘘かもしれないが。
でも、現実の揺るがない美や力強さを肯定するニーヴが異界の女王であり、不安定な感情の持ち主である理由は?そもそも、テッツが第二次大戦を経験した日系アメリカ人である意味は?なぜアイルランドの伝承における英雄の役割をアメリカの退役軍人が演じているのか?ショート丈のノースリーブシャツにネクタイをして、その上にプレートアーマーを着ている?
ゲーム中に現れた象徴的な出来事のすべてを解釈しようとするには、最低限スペシャルサンクスで作者自身が挙げた参考文献を漁ったり、具体的な関連性を見つける必要がある。それをせずに上で並べたようなことを書いても妄言にしかならない。私はこの作品についてまだそれをしていないので、そういうことです。
でも、自分がこうしたことを探ってみたいとこの作品から感じた理由を具体的に説明しづらいのは、執着のような暗い情熱を呼び起こすなにかがあったからで、それはなんなんですかね。
- 過去作の『Anodyne 2』や『Sephonie』もそうだけど、翻訳のレベルがすごい。正直誤字や脱字、固有名詞のブレとかはあるんだけど、なんか全体として一貫した雰囲気を持っている。対訳とか確認してないので、実際原文とは全然雰囲気が違うかもしれないし、意味も全く間違えている部分があるかもしれない。でも、この日本語訳含めての作品に自分の中でもうなってしまっている。
- 盗賊王の「ごきげんよう。オレが盗賊王さ。」という出会い頭のセリフがなんか好きだった。あんま盗賊っていう属性から「ごきげんよう」って出てこないよなと思って。確かに、慇懃無礼で尊大な印象はある、盗賊王だし。でも妙に浮いてる感じのセリフはSFCのサガシリーズとかを意識しているのかも?
メモ