スペルトナエル

狂い爺

スペルトナエル

『Slay the Spire』はまだやっていないけれど、ちょっとだけ調べたことがある。序盤はフロントローディングでスノーボールしながら、後半に向けてスケーリングできるデッキを構築していくのがカギらしい。たぶん、序盤に敵を軽傷で処理できるカードと、後半を突破するための強力なシナジーを生み出すカードがそれぞれ違うので、上手く戦略を切り替えられるデッキの育て方をする必要があるとか、そういうことだと思う。全然違うかもしれない。

それで『Slay the Spire』なんですけど、調べれば調べるほど遠ざかっていく感じがあって……みんなやれてるんだからとりあえずやってみればいいだろと言われたら何も言い返せないんだけど。でも、もう少し手を出しやすかったり、先に触っておくと理解しやすいものがないかなどと考えて、後回しにしてしまっている。

というのも『Nuclear Throne』をやって痛い目を見たというか、「え?自分って残りの人生の余暇全部このゲームに捧げなくちゃいけないの?」(どういう意味?)となって、あんまりすっきり終われなかった経験がある。自尊心を得るためのハードルが身の程を超えて高くなっているのか、終わりの見えないものすべてが怖くなっているのか。

結局何の話かというと、ゲーム中の選択肢やテクニックなどの情報量が多すぎて、この種のゲームに手を出しづらくなっている。特に、最終的に組みたいデッキと、それを作るための戦略の多様さに怯んでしまう。

その点、この『スペルトナエル』(持ち込みなしU-END)は、比較的選択肢が少ないおかげで序盤の突破力と最終的に超火力を出すための戦略を考えて実践しやすかった。その上で安易な攻略法を許さないバランスになっている。

呪文の購入と売却は毎戦闘後に実施でき、ここでいわゆるデッキの圧縮も行える。考えることは自分のステータスと敵を倒す速さでもらえるボーナス報酬に限定される。デッキを強くするために必要なリソースも金のみであり、呪文を手に入れるための特殊なマスやイベントなどもない。序盤の敵を倒しつつ呪文を強くするには、2,3発で倒せる程度の最小限までステータスを上げて高速で突破することで金を稼ぐ。中盤から後半はステータスアップと並行してボーナス倍率を上げておじいちゃんを倒すための呪文をそろえられるまで金を稼ぐ。

結局金じゃん。でも実際、金さえあれば最終的にどんな戦法でもできると割り切ったゲームバランスが個人的に好きな部分だった。他のリソースについて考える必要がないし、金を稼ぐにも「アトラクション」や「シニアホケン」を活用するには耐久力も追加で上げる必要があったり、トレードオフの関係がある。

ステータスやボーナスを上げるには多くの呪文を唱える必要がある。呪文を唱えるほど被弾のリスクが増えたり、残り時間が足りず攻撃できる機会が減る。これも、デッキの始動にかかる時間を、呪文を唱える時間に置き換えて単純化しているように感じた。複数カードの組み合わせによるシナジーをどう発揮するかより、一つの強い呪文を唱えるためにステータスをどう強化するかという問題の方が、順序がはっきりしている分タスクを分割して考えやすい。

最終的なデッキ構成を具体的に決めずに進んでもいい代わりに、限られた時間をステータスアップと金策のどちらに費やすか考える必要がある。デッキの圧縮やシナジーなどを考えなくてもいい代わりに、呪文を唱えるまでの時間をどう耐えるのかを考えなくてはいけない。

時間が最も重要なリソースであり、1戦闘1分(最大でも5分くらいらしい)というコンパクトな構成でも、デッキ構築型ローグライクのおもしろいところが体験できるように作られているのが、このゲームの慧眼の鋭いところだと思った。

  • なんか、ちゃんと考えて勝ちましたみたいな書き方してるけど、Perfect U-ENDクリアは11日目で「メガミノキマグレ」が成功しなかったらダメだったので、運勝ちでした。
  • 他のエンドもやるかわからないけど、L-ENDは流石に「○○リセット」系3種を持っていくのは厳しそうなので、変なデッキ使わなくちゃいけなそうでやってみたいかも。
  • 一回お気に入りに登録した呪文はあとからメインメニューで再度持ち込めるのを知らなくて、持ち込みありクリアにやたら時間かかってしまった。こういうゲームのTipsって大体ゲームオーバーになったときに表示されるから、感情的になって読まずにスキップしてしまうことがある。これってどうしたら治りますか?