ゆめにっき
窓付きのぬいぐるみ買ってた
やってみて驚いたことは、部屋の本棚の天板や机の木目など、陰影や質感がリアルに描きこまれていることだった。ベランダの窓の映り込みや曇りの表現も、ドット絵の、特にRPGツクールのゲームでは見たことないような気がする。
他にも、細かいドットによる執拗な影の表現が見られる部分がいくつかある。例えば、樹海の奥にある白い花の部屋では、暗闇の中で唯一ドアから光が差し込んでいる部分。また、エスカレーターを下ったデパート内の小部屋の入口も4段階に分かれて陰影がついている。
ベッドの中、階段を下って辿り着く地下通路や下水道でも陰影の描きこみが見られる。地下通路では細長い光源により影が強調されている。ところどころにある電燈のポールや、樹海の公園の照明にも細かくドットで陰影が表現されている。
陰影が強調されると、光源や明るさが制限されているように感じて、実際の色の明度よりも暗く感じる。MOTHERやL.S.D.などに影響を受けたサイケな図柄も多い中、こうした陰影の表現によってゲーム全体からは非常に暗い印象を受けた。
樹海の轢死体や衝撃的なエンディングなど、わかりやすく恐い印象を受ける出来事は少ない。それでも、うなされて起きた後に思い出しても何が怖かったのか全然わからない悪夢を見ているような気分になるのは、強く暗さを感じさせる表現のせいだったのかもしれない。
もう一つ意外だったのは、謎解き要素のあるウォーキングシミュレータとして結構ちゃんと遊べるし、割と発見の面白さもあるゲームだったことかもしれない。マップをスキャンしないと発見できないものも多いけど、プレイヤーの好奇心に反応する仕掛けも作られていた。例えば、「こびと」を使って火星の小さな穴を通れたり、電車内で待っていると別のマップに移動したり、自分では気づかなかったことも多いけど、割とロジックがある。
マップのつながりも、はちゃめちゃだけどランダムに飛ばされる要素はほぼなく、ちゃんと探索すれば情報が集まるようになっていた。迷路の探索を面白いと思えるかどうかもあるけど、グラフィック自体に面白さを感じることができれば、それをご褒美にして続けることができる。
ゆめにっきのグラフィックについて調べていたとき、くらかみ(id:curaca)さんの書いた記事[1]が見つかった。ゆめにっき内のグラフィック表現に絞って、ゲーム中の画像を例示しながら、その効果について考えていてとても参考になった。他のエントリーで紹介されていた、ゆめにっきを実際にプレイしてもらって考察を読ませた上で再プレイして感想を聞く実験の論文[2]の紹介も面白かった。
ゆめにっきのコミカライズ(?)も読んだ。『エイリアン9』の作者が描いているとは思わなかった。実際にプレイしたんだろうか。漫画の内容としては、前半はプレイ日記のような感じだけど、後半は『ゆめにっき』の世界をディストピアSFの管理社会と解釈して、世界秩序に対する反逆のような話になっていた。ベッドに入った後の世界と前の世界を、単純に夢と現実と区別して捉えていなかったのは面白かった。
ファンベースで広く受け入れられている考察は、現実の社会問題を目の当たりにさせられるので、こういう解釈もあるというのは正直助けになってしまう部分がある。あとこの種の考察が、「本当は怖い○○」とか「鬱ゲー」とか、実話誌のノリで回収されるのがちょっと見てられない。
考察でいうと、『OMORI』の、ひきこもりのこどもが長い時間かけて作った広大な夢の世界を探索するという設定が(そして、その悲劇的な結末も含めて)、こうした考察そのままだったのは以外だった。